昭和医学会雑誌
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糖尿病神経障害の簡便な他覚診断の検討
石黒 友康
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2001 年 61 巻 2 号 p. 208-213

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抄録
糖尿病性神経障害 (DN) の早期診断・治療目的に, 他覚的検査のいかなる項目が早期発見に適し, 臨床的に簡便かについて検討した.2型糖尿病患者81例を対象とした.他覚的検査としてアキレス腱反射 (ATR) , 正中神経伝導速度 (MNCV) , 振動覚 (Vib) .起立性低血圧 (OHT) , 安静時心拍変動係数 (CVR-R) , 深呼吸時心拍変動 (E/IR) の検査を行った.DNの診断は他覚的検査で, 3項目以上の異常を呈した場合をDNと判定した.本調査でDNは81例中19例に認められた.そこでDN (+) 群19例で各他覚検査の感度, 特異度を検討するとATRの感度84.2%, CVR-R78.9%と検出力はこの2項目で優れていた.そこで検出力に優れたATR, CVR-R, の2項目でDNと診断した際の感度, 特異度を求めると, ATRの特異度は24.1%だが, 感度は100%と高値であった.したがって設備が十分でない診療所や実地医家でDNのスクリーニングを行う際, 下肢末梢神経障害, 中枢神経疾患を除外したうえで, なおアキレス腱反射異常があれば, 偽陽性率は高いがDN診断に有用と結論できる.
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