昭和医学会雑誌
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くも膜下出血患者における尿中新規酸化ストレスマーカーからみた酸化的DNAおよび細胞膜障害の相関性
趙 明川池田 幸穂神保 洋之福田 直杉山 耕一石原 一義松本 清
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2002 年 62 巻 1 号 p. 50-56

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抄録
[目的] 脳血管障害の病態に活性酸素・フリーラジカルの関与が指摘されている.最近, 酸化的DNA障害のマーカーとして, 8-OHdG (8-hydroxy-2'-deoxyguanosine) と酸化的細胞膜障害のマーカーとして, 8-iPGF (8-iso-prostaglandin F) の尿中測定が可能となってきた.今回, くも膜下出血患者尿中における両ストレスマーカーの同時測定を施行し, 両者の相関性及び経時的変動について検討した. [方法] くも膜下出血で発症した患者7例を対象とした.留置ドレーン内の尿, 約5ml採取後, 冷凍庫に保存した.入院時より2週間にわたり連日採尿し, ELISA Kitで測定した.また, 同時に体重および一日尿量を記載した. [結果] 1.8.OHdG値と8-iPGF値は有意に相関する変動を示した (p<0.001) .2.8-OHdG生成速度と8-iPGF生成速度は有意に相関する変動を示した (p<0.001) .3.8-OHdGと8-iPGF尿中濃度および生成速度は第2あるいは3, 6日目に上昇する傾向を示した. [結論] くも膜下出血発症の脳動脈瘤患者において生じる活性酸素・フリーラジカルは生体構成成分である, DNAと細胞膜に対して同様な酸化ストレス障害の状況を引き起こす可能性が尿中新規酸化ストレスマーカーの測定から示唆された.特に, 8-iPGFの変動は脳動脈瘤患者における脳血管攣縮に引き続く脳虚血病態に関与する可能性が示唆された.
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