昭和医学会雑誌
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痙性片麻痺による歩行障害に対する坐骨神経ブロック著効の一例
依田 光正高崎 幸雄笠井 史人水間 正澄
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2002 年 62 巻 2 号 p. 129-133

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抄録

症例は57歳女性.くも膜下出血に脳梗塞を併発し, 発症5カ月後に当院へ入院.左半側空間無視・左片麻痺を認め, 左下肢は痙性亢進のため屈曲共同運動が著明で伸展が困難であった.運動療法, 薬物療法は効果が上がらず, 局所麻酔薬による坐骨神経ブロックを計10回施行した.次第に膝屈曲筋群の痙性は減弱し, 膝伸筋群の収縮がみられ, 下肢の支持性は向上し歩行可能となった.神経ブロックで一過性に膝屈筋群を弛緩させ, 相反性抑制を解除することが伸筋群の収縮を可能とし, 伸筋群に収縮が生じることで逆に屈筋群へ相反性抑制がかかり屈筋群の痙縮が軽減, その結果, 左下肢の支持性・歩行能力が向上したと考えられる.

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