昭和医学会雑誌
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Puromycin aminonucleoside腎症の間質障害に対するMycophenolate mofetilならびにOlmesartanの抑制効果に関する研究
佐藤 かすみ和田 幸寛諸星 利男北澤 孝三足利 栄仁中村 裕紀内田 潤一杉崎 徹三
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2005 年 65 巻 3 号 p. 235-246

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抄録
現在, 尿細管間質障害, 特に間質の線維化が腎機能予後に関して最も重要な因子と考えられている.今回我々は, 巣状糸球体硬化病変及び間質障害のモデルであるPuromycin aminonucleoside (PAN) 及び硫酸プロタミン (PS) 投与ラットを用い, レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系 (RAAS) を阻害する目的でアンギオテンシン受容体拮抗薬であるOlmesartanを, 浸潤細胞からのサイトカインや成長因子産生抑制作用を期待して免疫抑制薬であるMycophenolate mofetil (MMF) を同時投与し, 尿細管間質障害を抑制しうるかどうか検討した.あらかじめ片腎を摘出したラットにPANとPSの投与を行い, 体重, 平均血圧, 尿蛋白量の推移を計測した.投与開始後12週目に腎組織を採取し, 糸球体硬化度 (SI) , 間質障害面積 (%F) , またAlfa smooth muscle actin (αSMA) , Hyaluronic acid (HA) , Osteopontin (OPN) , CD5, CD44, Angiotensin II (Angn) , Angiotensin II type-1 receptor (AT1) の発現を計測した.実験経過中に投与群, 非投与群ともに体重及び平均血圧において有意な上昇や低下はなく, 両群間に有意差はみられなかったが, 実験開始後12週の時点での尿蛋白量が投与群で有意に減少した.組織所見では, 投与群では非投与群に比してSI, %F, HA及びOPNの発現が有意に減少し, Agn IIの発現が有意に増加した.また%Fとの関係では, %Fが増加するほど尿蛋白量, SI, αSMA, HA, OPN, CD5, CD44の発現が増加する傾向があり, AngII, AT1は減少する傾向があった.このうち%Fと尿蛋白量, SI, HA, CD44, OPNとの間に有意な正の相関関係を認め, %FとAngIIとの間に有意な負の相関関係を認めた.以上の結果から, Olmesartanにより輸出細動脈が拡張され糸球体濾過圧が低下したことから蛋白尿が減少し, 蛋白負荷による尿細管細胞からのOPNなどの炎症関連因子の産生が減少したこと, また, MMFによって浸潤細胞からの炎症関連因子の産生を抑制したことによって尿細管間質障害が軽減したと推測された.
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