昭和医学会雑誌
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当科における成人造血器腫瘍に対する非血緑者間臍帯血移植の成績
前田 崇柳沢 孝次碓井 隆子中嶋 秀人詞服部 憲路下間 順子安達 大輔斉藤 文護久武 純一川上 恵一郎中牧 剛友安 茂塩沢 英輔瀧本 雅文太田 秀一
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2005 年 65 巻 5 号 p. 394-400

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抄録

造血幹細胞移植は造血器腫瘍に対して有用な治療法であるが, 従来の骨髄移植 (bone marrow transplantation: BMT) ではドナーの負担, 選定など問題点が多かった.そのため臍帯血が, 造血幹細胞移植において骨髄, 末梢血に次ぐ第三の造血幹細胞供給源として注目されるようになった.臍帯血は当初小児造血器腫瘍に用いられてきたが, 近年成人に対する非血縁者間臍帯血移植 (unrelated cord blood stem cell transplantation: UCBT) として適応が広がっている.今回我々は19例のUCBTを経験したので治療法及び結果について報告する.対象は2003年8月から2005年4月までにUCBTを施行した19例で, 原疾患はAcute myelogenous leukemia (AML) 9例, Acute lymphocytic leukemia (ALL) 3例, Myelodysplastic syndrome (MDS) 2例, Adult T cell leukemia/lymphoma2例, Chronic myelogenous leukemia (blastic crisis) 1例, Myeloproliferative disorder (MPD) 1例, Follicular lymphoma 1例である.骨髄破壊的臍帯血移植 (myeloablative cord blood stem cell transplantation: M-CBT) を8例, 前処置の強度を弱めた骨髄非破壊的臍帯血移植 (reduced-intensity cord blood stem cell transplantation: RI-CBT) を11例施行し, Graft versus host disease (GVHD) 予防は15例でCsA±short term MTXを, 4例でFK506を使用した.臍帯血の平均輸注細胞数は2.43×107/kgで, HLA適合度は6/6matchが1例, 5/6matchが6例, 4/6matchが12例であった.白血球生着 (好中球>500μ1) は15例 (平均日数22.6日) に認め, GVHDの発症頻度はgrade0~IIが8例 (53%) , grade III~IVが7例 (46%) であった.Complete remission (CR) はhigh risk群症例5例を含む8例で得られたが, 一方で再発は4例に認められ, 移植後100日以内の早期死亡も6例みられた.UCBTでは一般にBMTに比べて生着の遅れや生着不全が問題となる.しかし今回の結果から必要細胞数が保たれていれば充分な生着が得られると考えられた.また重症GVHDの発症頻度はUCBTでは一般に低いとされているが, 当科では46%に重症GVHDがみられた.このことは当科でのhigh risk群症例に対する免疫抑制剤の早期減量が原因として考えられた.今後Graft versus leukemia (GVL) 効果を期待しつつも, GVHDコントロールを慎重に行っていくことが重要であると考えられた.High risk群症例でもCRを32%に得られたことより化学療法ではCR困難な症例に対してUCBTの有用性が示唆された.また50歳以上のRI-CBTにおいて5例中3例でCRとなったことは, 今まで移植適応外であった高齢者に対しても有効であると考えられた.

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