抄録
〔目的〕高齢デイショートサービス利用者を対象に座位式運動を12ヵ月指導し,その運動効果を調べた.〔対象〕レジスタンス運動群(R, n=19)とバランス運動群(B, n=17)の2群を設定した.〔方法〕効果指標は下肢筋力と機能的体力とした.〔結果〕介入前の下肢筋力と機能的体力,日常歩数,歩行速度に群間で差異がなかった.いずれの変数も交互作用が認められなかった.R群は3ヵ月後に足背屈力と膝伸展力が有意に向上したが,それ以外で変化が認められなかった.両群でファンクショナルリーチ(FR)は12ヵ月後に有意な低下が認められた.B群は10m歩行も低下した.〔結語〕2種類の異なる運動による効果には顕著な相違がなかった.バランス運動はFRが12ヵ月後で低下しており,座位による運動の限界が考えられた.