抄録
当院では2006年8月よりCD-DST法 (collagen gel droplet embedded culture drugsensitivity test) 用いた化学療法を施行しており, 検査成績およびその有用性について検討した.対象は抗癌剤感受性試験を施行した胃癌11例 (19検体) , 大腸癌17例 (21検体) で, 患者背景検査成績について検討した.また, 癌性腹膜炎4例 (胃癌2例, 大腸癌2例) に対して臨床経過を検討した.胃癌, 大腸癌のCD-DST評価可能率は手術材料で60.0%, 69.2%, 腹水で75.0%, 100%であった.胃癌の不成功例は手術材料の4検体で, 3検体が腫瘍細胞数の不足だった.腹水の2検体は腫瘍細胞数不足と細胞増殖能低下であった.大腸癌では手術材料の4検体で全例細菌汚染であった.評価可能であった胃癌8例のCD-DST結果で高感受性は5-FU (5-fluorouracil) 50.0%, CDDP (cisplatin) 42.9%, PTX (paclitaxel) 57.1%, SN-38 (irinotecan hydrochloride活性代謝物) 42.9%であった.大腸癌12例では5-FU33.3%, LOHP (oxaliplatin) 90.9%, SN-3816.7%, PTX57.1%であった.癌性腹膜炎4症例の検討より腹水によるCD-DSTは抗癌剤の耐性化時に再検査が可能で, 使用抗癌剤の感受性の変化がみられた.CD-DSTを参考に選択した抗癌剤は臨床的効果がみられた.CD-DST法は抗癌剤の選択の際に有用であった.