抄録
カフレス血圧計開発は、様々な制約から我々を解放する。そこには、“カフによる締め付け”に代表される、物理的、精神的な苦痛からの解放が含まれている。様々な科学技術との連携による、快適な健康管理を目指した開発は劇的な展開を見せるに違いないと予想され、極めて近い将来、自身と医師の窓口、或は、見張り役としてだけでなく、あたかも自身の健康相談役のように振る舞う血圧計の登場により、我々は更に多くの自由と心地良さを体感するようになるかもしれない。我々の心地良さを生む制約からの解放は、物、時間、空間からの解放という図式で表すことが出来る。そして、その図式を、接触から非接触への移行の図式としてとらえる時、そこに我々の健康観の母体である身体性の希薄化が意識され始める。現実と非現実、物体と映像。我々は、この接触から非接触への移行の図式から、自身の身体観への問い掛けを受け取ることが出来る。個々に与えられた最も鋭敏な感覚器官=センサとしての身体と、接触の意味についての思考だ辿り着く先に、新たなカフレス血圧計の“かたち”が見え始める。