生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
抄録
猛反対されても、一人でやりきる強い覚悟で研究を実用化せよ
石原 謙
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 53 巻 Supplement 号 p. S126_01

詳細
抄録
医師となった1980年代からME研究で特許を取得してきた。100本ほど内外の特許申請をしたが、ME機器の実用化は挫折の連続だった。自信のあった特許に対して米ベンチャから共同開発の誘いもあったが、若かった私は、国益を損ないたくないという発想でお断りした。だが日本国内の企業からは一社もお誘いはなく、それどころか私から頭を下げて、ME機器メーカーや製薬メーカーを尋ねたが、門前払い同様であった。この20年以上も前の私の失望は、今や改善されたか?残念ながら今なお絶望的だ。先駆的研究に出資をしようとするファンドは無く、世界初の機器の開発をこそ応援すべき審査組織は足を引っ張り、自戒を込めて言うが、この研究を実用まで持って行くのだという研究者の意識も弱いままである。研究者がお金やビジネスのことを言うのは下品だという感覚は、正反対の間違いであり、日本の産業にも障害だ。小玉先生の先駆的なお仕事が悉く卑下された社会的環境は変わっていない。だからこそ研究者には、「親切ごかしな中止のアドバイスは聞くな」「価値を最も理解している君こそが実用化まで推進せよ」「研究成果でお金を稼ぐことは国家的にも大きな善であることを認識せよ」とエールを送りたい。周囲の人々が皆理解してくれたり、国や企業が応援してくれることを期待していたら、失望を深めるばかりだ。中村修二氏のように荒野を一人で歩け。君には出来ると確信して。
著者関連情報
© 2015 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top