生体医工学
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抄録
カーネル法を用いた弾性体の部分観測情報に基づく変形推定
山本 詩子中尾 恵大関 真之松田 哲也
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2017 年 55Annual 巻 3AM-Abstract 号 p. 180

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抄録

外科手術において部分的に観測された臓器の変形情報から、臓器全体の変形を推定することで手術ナビゲーションなどに役立てることが期待されている。本研究では、内視鏡手術時に臓器を鉗子で把持し力を加えて変形させる状況を想定し、非線形有限要素法によりシミュレーションした3次元弾性体の変形推定を行った。弾性体の変形を計算する一般的な手法として有限要素法がよく用いられるが、有限要素法による変形計算では弾性率など弾性体の力学的特性や、作用点の位置と引っ張る力などの境界条件が既知である必要がある。また、ニューラルネットワークを用いた変形を学習するアプローチではそれらの情報が既知である必要は無いものの、学習に時間を要し、推定結果が学習の初期値に依存するという問題がある。それに対し、本研究ではカーネル法を利用した回帰を用いてデータに基づいた変位の推定を行った。カーネル法を利用することにより、学習時間を抑え初期値に寄らない変形推定が可能となった。実験データには初期形状が既知の条件下で、作用点に加える力の方向を変えて変形した3次元メッシュ構造の弾性体を非線形有限要素法で時間をかけて高精度に計算して取得したものを用いた。実際の弾性体変形では部分的な範囲でしか観測ができずまた変位をトラッキングできる部分は限られているため、非常に少ないメッシュ頂点のみを既知の観測点としてその変位を入力とし、全頂点の変位を推定した。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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