生体医工学
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抄録
ラットの低酸素脳症発症機序解明を目的とした造影剤導入方法の検討
松田 清香渡邊 寛輝田中 莉沙子山下 諒祐森 晃和多田 雅哉平田 孝道小林 千尋
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2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 230

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抄録

プラズマは,材料加工分野などの様々な分野で応用されている。医療分野でも,血液凝固や滅菌・殺菌といった応用が進められている。近年,医療分野において大気圧低温プラズマを用いた生体への影響の研究が行われている。大気圧低温プラズマを用いた実験で血管新生を伴う熱傷治癒促進作用などの複数の作用が確認された。血管が集中している生体臓器である脳に生じる脳障害は,抜本的な治療法がないことが多い。数ある脳障害の中で,血管を介して供給される血液が途絶えることにより起きる低酸素脳症(HIE: Hypoxic Ischemic Encephalopathy)がある。HIEとは,脳血流の低下により脳の一部が壊死し脳機能に障害が起こることをいう。プラズマ吸入による実験では,SpO2の増加作用及び脳内の血流動態の変化が確認された。脳内の血流動態の変化及びプラズマの血管新生促進作用により脳内の虚血状態が改善され脳機能の保持・回復が期待できる。プラズマ吸入によるHIEの機能回復の検討を行うためにHIEモデルラットの作製が行われた。今後プラズマによる治療効果の検討を行う上で処置による脳内の血管系の変化の理解・解明が必要となる。そこで,本研究ではHIE発症機序解明を目的とした造影CTにおける造影剤導入方法の検討を行った。造影剤導入方法の検討を行った結果,生存下で脳血管の造影が可能であると示唆される結果が得られた。本稿では造影CTにおける,造影剤導入方法について検討する。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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