脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
中大脳動脈閉塞に対する急性期血栓溶解療法
大田 元横上 聖貴中野 真一呉屋 朝和脇坂 信一郎
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1997 年 6 巻 2 号 p. 84-89

詳細
抄録
53例の中大脳動脈(MCA)閉塞による急性期脳梗塞患者のうち29例に,∪Kまたはt-PAを用いた選択的動注による急性期血栓溶解療法を行った.全体で62.1%(18/29例)の再開通に伴う臨床症状の改善が得られ,部位別にはM1 proximal群25.0%(1/4),M1 distal群73.3%(11/15),M2-M4群60.0%(6/10)と,穿通枝が温存されている例が高い改善率を示した.また,発症機序別にはembolism群75,0%(12/16)の方がthrombosis群46.2%(6/13)より高い改善率を示した.homorrhagic transformationは血栓溶解施行群20.7%,非施行群16.7%とあまり差がなかった.以上からMCA領域の血栓溶解療法は穿通枝の温存されているM1 distal群がよい適応と思われる.
著者関連情報
© 1997 日本脳神経外科コングレス

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top