生体医工学
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寝返りを考慮したオプティカルフローによる呼吸計測方法の検討
加藤 綾子森山 悠里加福井 康裕
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2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S158

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抄録

 毎日のバイタルサインを無意識のうちに計測することは,疾病の早期発見や予防に役立つと考えられる.我々は,睡眠時の脈拍と呼吸を近赤外画像の輝度値変化により非接触に計測することを提案してきた.脈拍は顔領域の中でも特に頬や唇の輝度値変化を,呼吸はオプティカルフロー波形を,それぞれ周波数解析することにより求めることができる.しかし実際の睡眠時には体動も発生するため,適切なオプティカルフローの算出位置の決定方法について検討した. オプティカルフローの算出にはLucas-Kanade法を用い,画像全体のオプティカルフローと信頼度を算出する.次に各場所でのオプティカルフローのx成分,y成分を求め,これにローパスフィルタをかけて呼吸波形とする.歪ゲージ式の呼吸センサを装着しながら睡眠実験を行い,寝返り前後で呼吸算出精度が高いオプティカルフローの算出位置を調査した.睡眠中の画像計測には880nmの近赤外光を用い,対象者の胸より上の範囲を布団の上から撮影した. 布団の有無に関わらず,肩領域かつ信頼度の高い箇所の呼吸波形を用いることにより精度よく呼吸計測が行えることが分かった.また寝返りの前後150秒間のデータについて,肩領域上で信頼度の高い箇所を追跡したところ,実際の呼吸波形と比較して90%程度の精度で呼吸を検出できた.今後はさらにデータ数を増やして一晩の睡眠全体の評価を行う.

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© 2018 社団法人日本生体医工学会
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