生体医工学
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ラマン分光法によるブタ膝関節軟骨の力学挙動解析
東藤 正浩北山 美咲
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2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S19

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抄録

変形性関節症(Osteoarthritis: OA)は,労働やスポーツ,外傷などによる過剰な力学的負荷が原因で発症する関節軟骨の退行性疾患である.高齢化が進む中で,この病態を十分に把握し,適切な診断を行うことが求められている.ラマン分光法は,光と分子振動の相互効果を利用した成分解析手法である.水分の影響を受けにくく,有機・無機両成分の成分解析を非侵襲的に解析できるという特徴をもつ.これより,ラマン分光法は生体組織の計測に有用である.そこで本研究では,コラーゲン,プロテオグリカンなどの高分子化合物から構成される関節軟骨の力学特性評価法として,ラマン分光法を用いた.このラマン分光法により,ブタ膝蓋骨から採取した関節軟骨試験片にラマンスペクトル解析を行い,力学的負荷に対する膝関節軟骨のラマンスペクトル応答について調査した.ラマンシフトのピーク位置がproline, phenylalanine, amide Iおよびhydroxyprolineにおいて正の方向に変化する傾向が見られた.本結果より,軟骨を構成する成分についてラマンシフト変化の傾向を確認でき,軟骨組織の力学的評価法としての有効性を確認することができた.

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© 2018 社団法人日本生体医工学会
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