2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S190
義肢使用者の樹脂製ソケット内の熱と発汗に起因する不快感による義肢着用の中断・中止の例が少なくない.そこで,本研究では,ソケット内の体表面温度上昇抑制の冷却システムの開発を目標とし,熱移動形態ごとの冷却効果を前腕体表面と同じ温度帯域とフィードバック系の過渡特性を有する円筒熱源モデルを用いた実験により比較した.ソケット表面にペルチェ素子や排熱ファンを設けた熱伝導と対流による熱伝達,ならびにソケット中間層の布地に水を噴霧して相転移の気化熱と対流による熱伝達を組み合わせた場合の冷却効果を比較した.結果,気化熱と対流を組み合わせた方式において,風量の調整により非冷却時と比べ有意に温度上昇が抑えられることを確認し,ソケット内壁面の温度上昇を2℃以下に抑制できることを確認した.