生体医工学
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イメージマッチングによる橈骨手根関節の生体内接触挙動評価
小林 公一風間 清子坂本 信
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2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S25

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抄録

橈骨手根関節は背屈,掌屈,橈屈,尺屈といった二軸性の運動とそれらを連続して行う分回し運動を可能とし,橈骨遠位端と月状骨,橈骨遠位端と舟状骨の軟骨が互いに接触する.変形性関節症などの軟骨変性を伴う疾患の発生や進行機序を解明するためには,これら軟骨の接触挙動を評価することが重要である.そこで本研究では,イメージマッチングにより橈骨手根関節の軟骨接触挙動を生体内で評価することを目的とした.健常被検者4人の右手関節と対象とした.橈骨,月状骨および舟状骨の三次元骨形状モデルと軟骨形状モデルをCTスキャンとMRIスキャンデータを基にそれぞれ構築した.2方向X線により掌屈位,背屈位,撓屈位,尺屈位,中立位を撮影し,三次元骨形状モデルとのイメージマッチングにより橈骨,月状骨,舟状骨の三次元位置を決定した.イメージマッチング後の軟骨モデルにおいて,モデル同士が重なっている部分を接触面積と定義し,さらにその重心から接触点を求めた.接触面積は背屈位と尺屈位において橈骨月状骨関節で最大となり,掌側位,中立位および尺側位において橈骨舟状骨関節で最大となった.また接触点は,橈骨月状骨関節において橈尺方向に最大6.4 mm,背掌方向に最大3.7 mm移動した.同様に橈骨舟状骨関節において橈尺方向に最大1.5 mm,背掌方向に最大3.6 mm移動した.以上の結果より,橈骨手根関節の接触挙動は関節肢位の変化に依存することが分かった.

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© 2018 社団法人日本生体医工学会
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