生体医工学
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先天性心疾患治療用逆流抑制デバイスの流体抵抗制御の基礎検討
軽部 雅人白石 泰之山田 昭博井上 雄介源田 達也山岸 正明
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2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S319

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抄録

逆流を抑制するFontan循環用逆流抑制能動クリップを開発している。先天性心疾患治療法として下大静脈肺動脈を人工血管で接続し血行路を再建する方法であるが、これはePTFE製人工血管により下大静脈と肺動脈を吻合し、心室機能による血液拍出ポンプ機能を経なくても肺循環および全身循環が生理学的に成り立つ。一方、肺循環の血液循環系では呼吸によって胸腔内および肺動脈血管系の圧力流量が変化し、呼吸性の下大静脈への逆流が生じる。開発中の能動クリップは、呼吸相に応じて変化する肺循環の血圧血流時の人工血管バイパスを介した下大静脈への逆流を抑制することを目的とした体内埋込デバイスである。デバイスの収縮機能は形状記憶合金線維を用い、三角柱型ePTFEシートをツイストするように対角線上にファイバーを内蔵させ、収縮することで流路抵抗を増大させる構造である。これを人工血管の外側から装着し、管路抵抗の制御によって逆流を抑制する。本研究ではFontan循環による肺循環系の呼吸性圧流量変動を機械式リニアアクチュエータを用いて血行力学的に再現する模擬循環モデルを構築し逆流生成とFontan流路抵抗の定量評価を試みた。結果として、呼吸による人工血管下流側の圧容積変化に伴う人工血管内逆流を再現し、管路逆流抑制に必要な抵抗上昇を検討し、開発する能動クリップの制御量を得られた。

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© 2018 社団法人日本生体医工学会
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