生体医工学
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距離センサを用いた前腕の隆起/陥没変化の計測による手の動作識別
宮田 千歌岡田 志麻
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2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S368

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抄録

近年, 人間の細かな手の動きを識別し, ゲーム画面に反映させたり, AR内での操作に用いたりする様々な手法が開発されている.しかしその手法の多くはコントローラを手に持つ必要があったり, 拘束性の高い装置を前腕に取り付ける必要があった. 以上のことから本研究では, ハンズフリーの状態で, かつ手の動作を識別できる安価で装着が容易なデバイスの開発を目指した.まず手動作の識別には主に, 画像認識, データグローブ, 筋電位計測等の手法が挙げられるが, 画像認識は計測環境構築に手間がかかる問題, データグローブは拘束/装着感が高い問題, 筋電位計測は誤差や誤認識が多い問題があった. そこで我々は, 手が動く際に前腕が隆起/陥没する点に着目し, 前腕に距離センサを搭載したベルト型のデバイスを複数個所に装着し, 手の動作による値の変化を計測した.識別する手の動作はN(ニュートラル), 全指屈曲(グー), 全指伸展(パー), 手首の掌屈, 手首の背屈, 前腕の回内, 前腕の回外の7動作とし, それぞれの動きにおいて前腕の隆起/陥没変化が出やすい5箇所に1つずつデバイスを配置した.実験では被験者5人を対象に, 5つのデバイスを装着した状態で7動作を5秒ずつ行ってもらい, これをそれぞれ6回くり返した. その結果, 7つの動作と5つのセンサの数値の変化には明確な相関があり, 開発したベルト型デバイスで7動作の識別が可能であることが確認できた.

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© 2018 社団法人日本生体医工学会
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