2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S419
タンパク質をつくらないmicroRNA(miRNA)にはmRNAを制御する働きがあるとされている。近年、がんにおけるmiRNAの役割が注目され、miRNAとmRNAの両方の発現解析が進んでいる。大木らはmiRNAとmRNAのデータが少数である場合の統合解析法を提案した。この解析法により、有意なmiRNAが 3個抽出されたが、がんと関係があると思われる遺伝子機能が得られたのは3個のmiRNAのうち1個のみであった。そこで、本研究ではターゲット遺伝子を決めるプログラムを改善し、有意なmiRNAからがんに関係があると思われる遺伝子機能が得られるかを検討する。藤田らが開発したターゲット遺伝子決定プログラムmeta-databaseのデータを最新のものに更新し、新たに実験的に確認された遺伝子のデータを追加した。これにより、ターゲット遺伝子数が増加した。得られたターゲット遺伝子の機能解析にDAVIDを使用した。DAVIDにより、同じような機能を持った遺伝子群クラスターを得ることができる。このクラスターの中に有意な遺伝子機能が2個以上含まれているものを抽出した。これによって抽出された遺伝子機能と各mRNAの発現量に対するt統計量を比較し、miRNAの発現変化によって大きく変化する遺伝子機能を抽出した。この結果から、全ての有意なmiRNAからがんに関係があると思われる遺伝子機能を抽出した。