2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S420
近年、身体加速度データに基づく日常生活下での睡眠モニタリングが普及しつつある。しかしながら、既存サービスで提示される睡眠指標の妥当性は十分に担保されているとは言えない。本研究の目的は、ウェアラブルデバイスにより計測される体幹加速度データに基づき、高精度に睡眠覚醒が判定可能な技術を確立することである。睡眠覚醒判定において睡眠ポリグラフ検査と高度に高い一致性があるAMI社のアクチグラフと3軸体幹加速度計(加速度計内蔵のホルター心電図計)との同時計測を行い(健常成人N=12、>24時間)、機械学習(サポートベクター マシン)により睡眠覚醒推定器の構築とその性能評価を行った。アクチグラフによる睡眠覚醒判定(1分毎)を教師信号、体幹加速度データの特徴量を入力信号とした。特徴量として、基本統計量のほか、signal magnitude area(SMA)、体幹角度(θ)等を抽出した。アクチグラフの睡眠覚醒手法に従い、ある時刻の睡眠判定に前後の時刻の特徴量も使用した。学習と性能評価には、k-分割交差検証法とone-leave-out交差検証法を用いた。近傍成分分析により入力特徴量の次元圧縮を行った結果、SMAとθが選択された。これらを使用した結果、アクチグラフの睡眠覚醒結果と高度に一致する推定器を構築することができた(予測精度: 94.6 ±4 %、特異性: 95.3 ±2 %、感度95.6 ±3 %)。今後は、既存の大規模加速度(ホルター心電図計)データベースへの適用を行う。