生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
 
ピエゾ方式パルスウォータージェットメス:臨床的有用性
中川 敦寛
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S43

詳細
抄録

目的ピエゾ方式によるパルスウォータージェットメスは細血管、神経温存下の組織切開が可能で、最大限の病変摘出と術後の機能温存の両立を支援する手術用治療器として産学連携体制で開発を進めている。臨床研究として脳神経外科・脊髄外科領域で臨床応用を開始したので、有用性、安全性を含めて報告する。方法 東北大学病院倫理委員会の承認を得て、2013年10月から東北大学病院において臨床試験を開始し、ピエゾ方式パルスウォータージェットメスの有効性、安全性を評価した。結果2014年3月までに悪性神経膠腫5例、髄膜腫6例、てんかん(脳梁離断)1例、脊髄腫瘍5例、脳血管障害1例で使用した。いずれの症例においても本治療器の使用による合併症は認められなかった。200μm程度の細動脈の温存下に腫瘍の摘出が可能であったが、腫瘍が一定の硬さを有する場合の切開、破砕能力に関しては今後の課題を残した。結論今後、治験実施に向け、さらに有効性を高め、既存の手術用治療器との差別化を図るための検討を要するものの、安全に細動脈温存下に病変を切開可能である可能性が示された。

著者関連情報
© 2018 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top