2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S44
本研究室では脳下垂体腫瘍の破砕と,細血管や神経の温存を両立させる治療デバイスとしてレーザパルスジェットメス(Laser Induced Liquid Jet:LILJ)の開発を行ってきた .現行のLILJは脳下垂体腫瘍腺腫を対象に臨床応用研究で一定の成果を挙げており,今後本技術を他科の医療ニーズの解決に活用するべく,LILJの破砕力向上に関する改良を進めている. 我々は水流に微小気泡を混入させたバブルジェットに着目し,LILJハンドピースの金属細管先端に経0.3 mmの小孔をあけ,ジェットに微小気泡を効率よく混入させたバブル型LILJにすることで,生体組織を模擬したファントムを用いた実験において,未加工ものと比べ破砕力が向上することを確認し,既報にて報告した.一方破砕力向上に伴い,血管や神経を損傷するリスクは向上する可能性がある. そこで,本研究の目的は,開発したバブル型LILJがLILJの特徴である神経や血管の温存機能を保持しているのか,また生体組織において破砕する組織の選択性を持つのかを明らかにすることとした. まずLILJの持つ特徴である膜構造や血管,神経などの構造物への温存機能を,ブタ摘出臓器を用いて検証した.次にジェットによる深さ方向への破砕効果を抑制する液溜まり現象が生体組織内でどのように再現されるのかを高速度カメラと画像処理を用いた計測システムを構築し,解析したので報告する.