生体医工学
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早稲田医療レギュラトリーサイエンス研究所の創設
梅津 光生岩崎 清隆松橋 祐輝坪子 侑佑村垣 善浩伊関 洋笠貫 宏
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2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S8

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抄録

医薬品や医療機器の実用化には、綿密な前臨床試験、臨床研究・治験などが義務づけられ、動物や人間で安全性と有効性をしっかり確認することが求められている。しかし、急激な医療技術の進歩に評価試験の方法論が十分対応できていないことに加えて、最大の問題は、産官学、そして患者と、多岐にわたる利害関係者間での価値判断の基準を調整することの難しさにある。この問題に総合的な視点で取り組み、生命医科学や医療工学の基礎に基づく先進医療のガイドライン策定から、専門人材育成にまで取り組むために、2015年、早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス(RS)研究所を創設した。一方、文部科学省の大学設置基準等の省令改正を受けて、早稲田大学と東京女子医科大学は、先進医療技術の急速な進歩を背景に、医療レギュラトリーサイエンス(RS)の博士人材育成を目指した共同大学院(共同先端生命医科学専攻)の設置申請を行い、我国初の認可を受けた。当該専攻は1学年定員10名の博士課程のみの専攻で、2010年に開講した。定員充足率は100%を超え、今までに42名に対し博士号が授与されている。本専攻の博士学位取得者のアンケート結果によれば、RS専門家としての自覚のもと、産官学や国際展開の協議の場、製品開発・臨床研究の実施の機会が増加しているという。また、医療業界の人脈の広がりにより、本専攻卒業生を中核としたネットワーク(早稲田RS研究所)の発展を推進している。

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© 2018 社団法人日本生体医工学会
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