生体医工学
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国内での医療機器開発と海外展開~中堅コンタクトレンズメーカーの巻き直し戦略~
浦壁 昌広
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2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S7

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抄録

コンタクトレンズは、日本では1千7百万人から9千万人が使用する最も普及し身近な医療機器であり、日本は米国に続く、世界第二位の巨大マーケットである。年間の卸売総額は2,200億円前後に上り、今も成長中である。 コンタクトレンズが日本に出現して約60年。当初から国内には優良なコンタクトレンズメーカーが多数あったにも関わらず、90年代の使い捨てコンタクトレンズの出現とともに、市場のメインプレーヤーは外資系企業へと代わり、日本のコンタクトレンズ市場は圧倒的輸入超過が継続している。更に、使い捨てコンタクトの出現は事業自体を投資先行型の装置産業へと変換しビジネスモデルの大きな変革をもたらした。最近は、高齢化社会の中での顧客ニーズ多様化や、世界での近視の爆発的な増加の中で、新たなフェーズの到来が予想される。日本企業が何故使い捨てに出遅れたのかを明かにしつつ、圧倒的な企業規模の差がある中で、日本の中堅企業であるシードが巻き返しを図るための近年の事業展開を事例として紹介し、コンタクトレンズ産業の技術革新の歴史、その方向性を決める因子、多様化しながらも変化する消費者ニーズ、コンタクトレンズに期待される新な機能などを探って参りたい。

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© 2018 社団法人日本生体医工学会
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