生体医工学
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光干渉断層法を用いた卵胞の可視化及びその自動密度計測の試み
茂谷 裕貴高江 正道鈴木 直塚田 孝輔
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2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S87

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抄録

生殖年齢にある癌患者の妊孕性を温存する為,事前に卵巣組織を凍結・移植する治療法が存在する.卵巣組織内において卵胞は不均一に分布する為,卵巣予備能を非侵襲的に定量する必要があるが,その手法は確立されていない.本研究ではOptical Coherence Tomography (OCT)を用いて卵巣組織内卵胞を可視化し,取得画像から組織内卵胞密度を算出する画像処理アルゴリズムを考案した.

生後3日,10日,21日,30週,50週のICRマウスから卵巣組織を採取し,Full-Field OCT装置 (Light-CT Scanner, LLTech) を用いて画像を取得する一方,比較の為に同組織を用いてHematoxylin Eosin (HE)染色を行った.OCT画像は視野800 ×800 μmを1024 ×1024 pixelで撮像し,深さ方向5 μmまたは10 μmで20スライス取得した.Lee-Sigmaフィルタ及びメディアンフィルタを用いてノイズ除去後二値化し,卵胞の陰影サイズ及び真円度に閾値を設け,卵胞を検出した.混同行列を作成し,検出率と本法を用いて検出された卵胞数と医師によって検出された卵胞数の比(一致率)を算出した.

マウスの週齢に依存した原始卵胞,1次卵胞,2次卵胞,胞状卵胞をOCT画像にて可視化し,HE染色と比較して卵胞の陰影がそれぞれ一致することを確認した.自動密度計測によりOCT画像から卵胞を特定した結果,検出率0.80,一致率1.09を得た.今後はOCT画像特有のスペックルノイズの低減,検出率及び一致率の向上,卵胞の成熟度別定量化を目指す.

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© 2018 社団法人日本生体医工学会
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