生体医工学
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電気化学発光を利用した生体貼付型酸素センサの開発
片山 祐太藤岡 佑太塚田 孝祐
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2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S88

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抄録

生体の酸素濃度の計測や管理は臨床だけでなく培養細胞を中心とする基礎実験においても重要であり,特に臨床では非侵襲かつ連続的な計測が求められる.そこで酸素濃度を絶対値計測可能な燐光寿命法に着目し,生体貼付可能なフィルム型酸素センサの開発を目的とした.本発表では酸素分圧変化に対する校正実験および基板材料のフレキシブル化に向けた電極特性について報告する.

ガス透過性の高いPolydimethylsiloxane (PDMS)に酸素感受性燐光色素であるPd-meso-tetra (4-carboxyphenyl) porphyrin (Pd-TCPP)を混合し薄膜酸素センシングフィルム作製した.励起光源として電気化学発光 (Electrochemiluminescence: ECL)および比較としてLED (Light emitting diode)を用いた.電極・基板材料の組合せとしてITO/PET, PEDOT:PSS/PET, Graphene/PETを用いた.酸素分圧0 mmHgから159 mmHgの環境で光源に交流電圧を印加し,光源と燐光の位相変化からStern-Volmer式を用いて酸素分圧を算出した.

ITO電極は歪みを与えた際の抵抗率変化が曲げ直径15 mmまで見られなかった.LED光源による校正実験の結果,高精度に酸素分圧を測定することが可能であった.一方,ECLによる励起では酸素分圧変化に対して位相変化が認められたが,LEDによる励起より測定精度は低かった.ECLの消光が燐光の消光速度と同程度であることが考えられ,今後はECLの発光強度や印加電圧パターンの改善により精度向上を目指す.

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© 2018 社団法人日本生体医工学会
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