生体医工学
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末梢神経再生のためのキトサン-コラーゲンゲルチューブ
板井 駿鈴木 果林倉科 佑太木村 洋朗雨宮 剛佐藤 和毅中村 雅也尾上 弘晃
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S104_2

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抄録

末梢神経欠損は,運動麻痺などの障害を引き起こし生活に支障をきたす.現在神経断裂の治療には自家神経移植などが主に用いられているが,近年,患者への負荷が少ない効果的な末梢神経の再生治療として,生体適合性ポリマー製のチューブ形状デバイスによる縫合治療が注目されている.しかし現在までに開発されているデバイスの多くは,軸索伸長因子が再生する軸索周辺に不足するため,軸索伸長の促進性不足や組織再生の不完全性に問題があった.そこで本研究では,高剛性なキトサンゲルと細胞培養可能なコラーゲンゲルの2層構造を持ち,神経再生を誘導する細胞を封入可能な神経再生デバイスを提案する.本デバイスは治療対象部位に合わせた寸法のデバイスを簡便に作製可能であり,機械的剛性が高いため外科的操作も容易である.また細胞封入により軸索伸長を促進し,迅速かつ良質な末梢神経の再生が期待できるデバイスとなっている.提案した手法でデバイスを作製後,デバイスの生体適合性を確認した.簡便に生体適合性材料のみで作製でき,かつ軸索伸長の促進が可能な神経再生デバイスであるため,このデバイスにより迅速かつ完全な末梢神経の再生医療が期待される.

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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