2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S107_2
近年,MRIは微小試料計測への応用が進められており,小型かつ高感度なMRI信号受信用コイルの研究が行われている.感度の指標となるSNRの増加にはコイルの巻き数の増加が必要となるが,巻き数を増加させると寄生容量が増加し,自己共振周波数が低下してしまう.そこで本研究では,巻き数の影響が小さく寄生容量の低いコイルを実現するため,内側の配線と外側の配線の向かい合う面積の小さい二重巻きMRI用マイクロコイルを試作する.試作するコイルは内側と外側の配線が垂直な関係になるように設計し,対向面積を小さくすることで寄生容量を低減させ,自己共振周波数の増加を目指した.コイルの特性を評価するためにインピーダンス計測を行い,内側の配線と外側の配線が平行な関係になるように設計した対向面積の大きいコイルと比較した.その結果,試作コイルの自己共振周波数は178 MHzとなり,約7 %増加できた.また,寄生容量を算出した結果,試作コイルは1.08 pFとなり約27 %低減できた.最後に,MRI画像計測実験を行った結果,SNRは35となり対象を計測可能であることを確認した.以上より,低寄生容量な二重巻きMRI用マイクロコイルを実現できた.