生体医工学
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ヘマトクリット値が血液粘弾性に及ぼす影響の検証
小泓 雄一渡邉 宣夫
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S169_2

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抄録

血液粘弾性における粘性項、弾性項は凝固過程において増大することが報告されており、凝固能の新しい評価方法として期待されているが、これまで実証されていない。加えて、ヘマトクリット値は血液粘度に深く関係することが知られている。そこでまず、本研究はヘマトクリット値が血液粘弾性に及ぼす影響を検証することを目的とした。抗凝固作用としてクエン酸ナトリウムを添加した豚血液を遠心分離し、ヘマトクリット値を何通りかに調節した血液サンプル(Hct:0、20、40、60、80、100[%])を作成し、レオメータ(DHR-2、TA Instrument)を用いて粘弾性を計測した。その結果、粘性項と弾性項の比率で表わした位相差は、ヘマトクリット値が増大するにつれて減少し、粘性項も減少する傾向が見られた。ヘマトクリット値の増大に伴い血液粘度は増加する事が知られる。また、本研究における粘弾性の位相差ではヘマトクリット値の増大に伴い粘性項は減少した。したがって、血液流動において粘度と粘弾性の位相差は相反する性質であることが示唆された。

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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