生体医工学
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人体モデル・臓器モデルのBiofidelity:世界動向と標準化活動
鎮西 清行山下 樹里太田 信
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S204_2

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抄録

筆者らはImPACT「バイオニックヒューマノイド」に参加して,主にその国際標準化に関する活動を行ってきた.2018年にISO TC 150にWG 14 Models of tissues for mechanical testing of implantsを設置し太田がコンビナーに就任した.同WGが開発する文書は,医療機器の開発や評価のための「モデル」が対象であり,医療機器を直接の対象としない.しかし臨床試験がコスト,期間,研究倫理とCOI,十分な被験者数の確保等の課題に直面し,動物実験もコスト,期間,動物倫理の課題に加えて外挿性の説明の困難という本質的な課題がある.例えばFDAは曖昧な外挿性を根拠とするよりも妥当なモデルに基づく評価の方が適切な場合があるとしている.本邦は動物実験,臨床試験のコストが高く,これらに依存する医療機器開発は競争力を失うことが予想され,モデルによる評価法の確立は喫緊の課題である.また3Dプリンタの発達によって外見,形状のリアリティの高いモデルの複製は容易になりつつある.しかし外見,形状の類似性だけでは医療機器評価に用いてよい根拠とならない.我々はBiofidelityの概念の確立,これに基づくモデルの仕様決定と使用法の要件を主題とする国際標準の普及を目指している.

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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