生体医工学
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携帯電話の医療機器への影響を考慮した病院内電波管理
加納 隆
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S208_2

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抄録

携帯電話の医療機器への影響の問題は、平成7,8年当時、携帯電話が医療機器に影響を及ぼすことが判明し、国家的な影響調査が始まったことに端を発しているが、この当時はEMC基準をクリアしていない医療機器も多く、その影響は無視できないものがあった。この調査結果を受けて、平成9年に「医用電気機器への影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」が出されたが、非常に厳しい規制内容であったため、大多数の病院では「携帯電話全面使用禁止」であった。その後、平成14年には従来の第2世代携帯電話(800mW)より電波出力の小さい第3世代携帯電話(250mW)が登場し、さらに平成24年には第2世代携帯電話のサービスが終了し、第3世代携帯電話だけになったことを機に、まず植込み型医療機器に関する指針が平成25年1月に改定された(離隔距離22cm→15cm)。平成26年には病院内の医療機器についても影響調査が行われ、平成26年8月に「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」が改訂された。旧指針に比べて緩和された内容になったため、その普及が進んでいるが、まったく影響がないわけではないので、引き続き病院内使用については注意が必要である。

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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