生体医工学
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人工呼吸器用回路における熱損失の検討
大橋 敬三浦 英和久保 公人猿田 泰秀
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S221_2

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抄録

人工呼吸器用加温加湿器(加温加湿器)は現在も小児新生児領域・在宅領域・ハイフローセラピーなどで使用されている。加温加湿器の最大のデメリットは回路内に結露が発生することであり、結露を防ぐためのヒータワイヤ内蔵呼吸回路も市販されているがその機能は複雑で高価である。私たちは安価な保温資材や再使用可能な構造のヒータワイヤを用いることを検討した。Airvo2(Fisher&Paykel社)で発生させた10,20,40および60 L/minの加温加湿されたガスを小児用呼吸回路(内径15 mm、長さ120 cm、インターサージカル社)に流し、保温資材として塩化ビニル製スリーブ,アルミ蒸着フィルムまたは二重化した呼吸回路を用いて入口と出口の温度差を測定した。またヒータワイヤとして呼吸回路の外側に直径0.3 mmの銅線を巻き付け、電力付加して同様の実験を行った。呼吸回路の条件に関わらずガス流量が速くなるほど温度差が少なくなる傾向であった。この傾向は呼吸回路に何も装着しない状態で最も顕著であり、アルミ蒸着フィルムが最も温度降下を防げた(10 L/minのとき11.5 ℃)が十分ではなかった。付加電力12 Wのとき、温度降下を最小に抑えることができ呼吸回路内に結露の発生は見られなかった。

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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