生体医工学
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触覚刺激を用いたブレインコンピュータインタフェースに視覚情報が与える影響
田村 花織堀 潤一
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S242_2

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抄録

触覚刺激によって誘発した事象関連電位P300を利用したブレインコンピュータインタフェース(BCI)を開発した.ピエゾ式触覚刺激装置で左右の人差し指に複数の刺激を提示し,被験者は1つの刺激に注目することによりP300を誘発した.閉眼時,脳波の変動電位であるアルファ波がP300に影響を与え,BCIの確度も低下することが懸念される.よって,本論文では触覚刺激BCIにおいて,視覚情報が確度に与える影響について調査した.具体的には,閉眼時と開眼時ならびに注視点注目時の事象関連電位の振幅,スペクトルならびに確度の比較を行った. 開眼時では30インチディスプレイに白色ノイズ映像,注視点注目時には開眼時に用いた白色ノイズ映像に注視点を設けた映像を呈示した.結果,アルファ波が表れやすい閉眼時に比べ開眼・注視点注目時では,アルファ波の抑制が確認できたがP300の振幅に被験者ごとのばらつきが大きくなった.また,確度は開眼時に約79 %,注視点注目時に約80 %となり,閉眼時の89 %と比較して低下した.以上より,アルファ波はBCIの確度に影響を与えず,実験に集中しやすい閉眼時に確度が向上すると考えた.

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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