2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 238_2
【はじめに】HLA抗体は、術前に検出されるDSAも重要であるが、移植後に検出されるdnDSAも重要とされ、腎機能を悪化させる独立危険因子であることは、広く知られている。近年では、HLA Matchmakerを使用して、HLA ClassⅡがdnDSAを発症する長期的なリスクとも報告されている。今回われわれは、エピトープミスマッチ(EM)を算出し、移植予後との関連について解析を行った。【対象および方法】 当科にて腎臓移植を施行した309例を対象とし、HLA Matchmakerを用いて、エピトープミスマッチスコア(EpMM)Ab Verifiedを算出し、EpMM:0-2(1群)、3-5(2群)、6-8(3群)、9-11(4群)、12-14(5群)、15以上(6群)に分け、CAMR発症率、dnDSA発生率の解析を行った。【結果】 各群の分布は、1群:13%(39/309)、2群:24%(75/309)、3群:31%(97/309)、4群 :16%(48/309)、5群:12%(36/309)、6群:5%(14/309)であった。CAMR発症率、dnDSA発生率ともに、EpMMが高くなるにつれ、CAMR発症率、dnDSA発生率は、高い確率で認められていた。 【結語】EpMMは、腎移植後のCAMRおよびdnDSAの発生を予測する因子になり、有益な検査法になる可能性が示唆された。