生体医工学
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味物質を高速度に計測するための味覚センサ
野田 堅太郎塚越 拓哉下山 勲
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S267_1

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抄録

食事は健康的な生活を送るための基盤である。味はもちろんのこと健康に配慮するためには塩分・糖分などの成分の調整が必須となる。しかし従来の味分析装置は大型で分析に時間を要するため、調理中や個々人の食事の分析・評価を行うには適していない。そこで本研究では、安全かつ高品質の食事を提供するために味や食品内の成分を定量的かつリアルタイムに計測・評価することが可能な味覚センサの実現を目指す。提案する味覚センサは SPR (表面プラズモン共鳴)法を利用し、ガラス基板上に製膜した金の表面に形成した薄膜(感応膜)の誘電率変化を計測することで水中の塩分を特異的に計測する。感応膜にはNaClとイオン結合する厚み1 μmのNafionを利用した。波長1550nmのレーザを水/Nafion のSPR角である72度の入射角度で照射し、反射光強度の時間的変化を計測し、その値から塩分濃度を推定した。1.7 mM(0.01 wt%)~170 mM(1 wt%)のNaCl水溶液を浸漬した後、3 sec後の反射光強度の変化量を計測したところ、塩分濃度と反射光の時間変化量との間に相関を確認した。この結果から提案方法によって、1.7 mM(0.01 wt%)~170 mM(1 wt%) までの塩分濃度を3 secで計測できることを確認した。

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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