2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S34_2
本研究の目的は脈波により得られた脈波ピーク間隔(PPI)変動が心拍変動により心臓自律神経系活動計測法の測定方法として妥当かどうかについて評価及び検討することを目的とする.心電図R-R間隔より得られた心拍変動(RRI変動)を洞結節での興奮度を近傍で得られたものを真値とみなし,PPI変動と比較することで精度評価を実施した.被験者は若年健常男性15名を対象とした.被験者の姿勢を立位,座位,仰臥位の3つとし,それぞれ5分間のRRI変動とPPI変動とを心電図及び脈波計とから同時記録することによって得た.各姿勢の測定順は被験者毎にランダムに決定した.PPI変動による心臓自律神経系活動をトーン-エントロピー法を始め,周波数領域解析,時間領域解析等のさまざまな心拍変動解析により評価したところ,立位におけるPPI変動では心臓自律神経系活動に関連する変動以外の変動が結果に大きく寄与しており,RRI変動による計測結果を座位,仰臥位のものと比較すると,その差が大きくなった.つまり,PPI変動では心臓自律神経系活動以外の変動も含まれてしまい,計測結果の正確性を低減する.特に,立位姿勢のように心拍数が高い場合が顕著であることが示された.