2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S35_1
日本人の睡眠時間は男女ともに減少傾向にあり,睡眠不足により免疫機能や認知機能の低下を招く.そのため日常的な睡眠状況を把握することで,健康管理やQOL向上に繋がると考えられる.現在,医療分野では睡眠ポリグラフ検査(Polysomnography: PSG)によって睡眠の計測・評価を行うが,検査装置の規模や拘束性から日常的に実施することは困難である.そこで本研究では日常的な睡眠の評価を行うことを目的とし,睡眠時の心拍データと体動を計測可能な腕時計型デバイスを製作した.そしてPSGと製作したデバイスにより睡眠の同時計測を行い,OSA睡眠感調査票MA版及び入眠感調査票により主観的睡眠の評価を行った.その結果,中途覚醒時間や入眠潜時の減少・深睡眠量の増加に伴い,主観的睡眠の質が向上する傾向がみられた.また,睡眠時の心拍データと体動を特徴量としたニューラルネットワークによる睡眠深度判定では正解率79.0%を示した.したがって,製作したデバイスによって睡眠深度判定を行うことで,日常的な睡眠の評価が可能と考えられる.