生体医工学
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ピッチの相対変化に着目した音想起に関する脳波の分類
坂本 嵩小林 篤矢松下 佳鈴清水 梨沙青山 敦
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S38_1

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抄録

近年, 脳計測データから内観を読み解く技術が注目されている. この技術に関して, 運動想起や視覚想起に関する研究は数多く存在するが, 音想起, 特にピッチ想起に関する研究は少ない. そこで本研究では, 前回大会で報告した想起音の相対的なピッチ変化が分類精度に寄与する可能性に着目し, ピッチ想起に関する脳波の分類を検討した. 実験参加者に先行提示した2種類の基準音 (220, 880Hz) よりも1オクターブ高い音ないしは低い音を想起してもらい, 両基準音で共通して存在する440Hz音想起時の脳波について, 周波数帯域別の電極間位相同期度 (dWPLI) を特徴量とする線形分類を行った. 結果, 全帯域で分類精度はチャンスレベル (50%) を超えており, 特にアルファ帯域では他の帯域と比べて有意に高かった. 電極領域に注目すると, ベータ帯域の頭頂-中心領域間を始めとする頭頂領域関連の位相同期度で75%程度の精度を示した. 想起音のピッチは共通であったため, 頭頂領域を含む広域なネットワークを形成する音想起のトップダウン処理がピッチの相対変化に依存して異なっており, その差異が想起音に関する脳波の分類において有効であることが分かった.

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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