生体医工学
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人工視覚システム用多孔性刺激電極の一定位相要素に対する電極界面構造の影響
野村 修平田代 洋行中野 由香梨寺澤 靖雄太田 淳
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S74_1

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抄録

人工視覚システムは,視神経系への電気刺激により,失明患者の視覚機能を再建する装置である.刺激電極に通電する際,電極電位が水の電位窓を超えると電気分解が生じ,生体組織と電極に損傷を与える.通常,刺激電極の長期埋植に対する安全性は動物実験で評価されるが,多大な労力を要するため,代替指標の確立が望まれている.本研究では,多孔性刺激電極の電気化学的特性変化に着目し,電極孔内における一定位相要素(Constant Phase Element: CPE)の経時変化を解析した.CPEは電気二重層容量に電極表面の不均一性を考慮した非線形要素である.刺激電極アレイを兎の眼球に埋植後,6か月間の電気刺激を行った.その間,電気化学インピーダンス測定とその等価回路解析を行い,電極の多孔化加工の有無によるCPEの経時変化を比較した.電極界面を模擬した等価回路は,電極表面と孔内における溶液抵抗とCPEで構成した.通電/非通電電極を比較した結果,通電電極では電極孔内CPE指数は大きく,電極表面CPE指数は小さく推算された.また,通電した非多孔電極では電極表面CPE指数が大きく推算され,電極表面構造によって通電が二重層容量に与える影響は異なると考えられる.

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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