2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S93_1
【背景】本研究は、システム生理学的研究アプローチを用いて、高強度インターバルトレーニングによる最大下運動時換気抑制のメカニズム解明に取り組んだ。【方法】対象は健常男性14名。安静時、低強度、高強度運動時の各々の条件下にて、呼吸化学調節系をController(制御部)とPlant(制御対象部)の二つのサブシステムに分離し、両者の特性変化をトレーニング前後で比較検討した。Controller特性は分時換気量 [VE] = Gc x (呼気終末CO2分圧[PETCO2] - B)の一次直線で、Plant特性はPETCO2 = A / VE + Cの式を用いて双曲線近似した。【結果】 Controller特性において、安静及び運動時のGc値はトレーニングによって変化しなかった。強度に依存してController特性は上方へとシフトし、トレーニングはその反応を有意に抑制した (p<0.05)。 Plant特性のA値及び、平衡線図上のX軸漸近線として表されるC値は、高強度運動トレーニングによって有意に減少した (p<0.05)。【結論】 高強度インターバルトレーニングによる高強度運動時の呼吸抑制、すなわち、呼吸平衡点(動作点)がシフトする現象[VE 減少とPETCO2の増加]は、Controllerの適応変化が主たるメカニズムであることが判明した。