生体医工学
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障がい児と乳幼児を対象としたバリアフリーイベントの開催とその意義
小谷 博子
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 140

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抄録

 福祉のまちづくりを進めるためには、ハード整備を進めるだけではなく、整備したバリアフリー施設を円滑に利用するための人的支援や情報提供などのソフト面での対応を進める必要がある。私は、2017年より公共のプラネタリウム施設において障がい児や乳幼児の親子向けのコンサート活動を行ってきた。プラネタリウムでのコンサートを開催する理由は、重症心身障害児のような寝たきりの子どもも、桟敷席ならばゆっくりプラネタリウムを鑑賞でき、手助けが必要なときは、ボランティア学生たちがサポートすることで、暗く段差のあるプラネタリウムでも安心してコンサートと星の鑑賞を楽しめるようにサポートしたいという思いからである。コンサートを実施後のアンケートでは、93%の親が子どもはコンサートを楽しんでいたと回答し、97%が障害者や乳幼児でも参加しやすいコンサートであったと回答していた。外出(社会参加)の機会が制限される方々にとって、このようなバリアフリーイベントは「外出して楽しい時間を過ごすことが出来た」という成功体験を得られ、仮に不具合があっても、サポートしてくれるスタッフがいることによる安心感があり、その環境下で対処法を体験できることは大きな自信に繋がる。外に出かけてみようというモチベーションにより、イベントへの参加が「一生に一度の経験」ではなく、繰り返し経験可能なものに転換することができるのではないかと考えられる。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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