生体医工学
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横からみた産学連携ミスマッチの要因事例と解決法
青井 堅
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 173

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抄録

これまで主力産業を医療機器としてこなかった『異業種』企業が医療機器、ヘルスケアへ参入しようという動きが活発化している。 AMEDに集約された我が国の医療機器開発研究費においても、企業と大学/病院がセットでなければ申請できないLate Phaseの大型研究費が投入されるようになり、それに伴って企業と大学の産学連携の機会も増している。一般的に産学連携は、現場担当者同士が意気投合すれば、共同研究を開始することも多いが、それが長期的な取り組みとなっている例は多くない。しかしながら医療機器開発には、ニーズ探索、開発、さらに承認取得後の市販後調査、臨床における新たな課題解決など、非常に長期の視点が必要となる。そのため、産学連携した場合にうまくいかないことが発生する。著者はこれまで様々な産業分野でのコンサルタント業務を経験し、産学連携・異業種連携などの例も見聞きしてきた。産学連携のミスマッチ原因の多くは、GOALの共通認識形成や、お互いの持つ様々な認識の差に拠るものが多く、この認識の違いに気づかないままプロジェクト進行、あるいは気づいても軌道修正の手段を講じられないまま、進んでしまう場合もある。産学連携における落とし穴と、それを回避するために適したプロセスを洗い出し、医療機器開発を目指す若手研究者や新規参入企業のアウトプットを円滑にする施策について提案する。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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