生体医工学
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細胞収縮力アッセイ:工学と生物学の接点
出口 真次李 泓翰松井 翼松永 大樹ネワ フォンチャムジャーミア青崎 宏樹
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 174

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抄録

本発表では我々が開発した細胞収縮力の評価方法(アッセイ)について紹介する。昨今の研究から、非筋細胞の収縮力は単に細胞遊走の駆動力として使われるだけでなく、細胞の基本状態(増殖、分化、アポトーシスのどの状態をとるか)を決める要素であることが明らかにされている。ただし「収縮」と言っても細胞の長さの短縮を伴うものではなく、「等尺性収縮」状態において力を発生するものであることから、すぐには視認できず、研究者が意識することも少ないように感じる。しかし特に細胞外基質の硬さ(細胞収縮力を決める要素)に依存した分化方向の決定機構(細胞外基質の硬さ→細胞収縮力の大きさ→細胞内シグナルの変化(メカノトランスダクション))の現状の理解を紹介しながら、非筋細胞の収縮力の一般的な重要性について説明する。我々の方法では細胞に分子的な擾乱を与えた際の収縮力の変化を効率的に定量評価できるために、今後細胞生物学分野におけるスクリーニング実験等でのアッセイ技術として活用されていくと期待している。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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