生体医工学
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脳波測定に基づく家庭用睡眠計測システムの開発
小久保 利雄堀江 和正太田 玲央宮本 隆典北川 博之星野 和哉馬場 節柳原 康司樋江井 哲郎清水 徹川名 ふさ江鈴木 陽子富永 杜絵阿部 高志近藤 英明神林 崇福住 昌司西村 篤藤原 正明柳沢 正史
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 216

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抄録

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)は睡眠障害の診断のための睡眠検査の標準であるが、その適応はいくつかの問題によって制限されている。制限の一つは、検査入院や多数の電極/センサーの装着のために睡眠が妨げられてしまうことであり、高い費用やそのために長時間を費やさなくてはならないことも大きな問題である。そこで、我々は誰でも簡単に在宅で低コストで自然な睡眠を計測できるシステムを開発している。このシステムを開発するため、我々は二つの基盤技術、すなわちウェラブル脳波測定デバイスと脳波解析による睡眠ステージ判定のための人工知能プログラム、を開発している。ウェラブルデバイスの開発では、当初、電極一体型を検討したが、測定への影響や着け心地の観点から電極分離型のデバイスへ転換した。人口知能プログラムの開発では、まず、PSG検査結果から睡眠ステージ判定を行う解析モデルを深層学習により構築し、熟練の臨床検査技師による睡眠ステージ判定結果に対して非常に高い一致率(κ係数0.83)を示す解析プログラムの開発に成功した。現在、ウェラブルデバイスの測定結果から睡眠ステージ判定を行う人工知能プログラムを開発している。我々は、上記の二つの基盤技術や通信ネットワーク、データ/情報入力・出力インタフェースを統合するシステムも開発しており、家庭で誰でも簡単に睡眠を低コストで計測できるサービスの提供を目指している。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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