生体医工学
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指尖容積脈波における様々な脈波解析方法の映像脈波への適用と有用性の評価
内藤 勇成田中 明熊谷 岬吉澤 誠
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 308

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抄録

顔などの皮膚映像を撮影し,皮膚の色変化を解析することにより脈波(以下,映像脈波)を非接触で抽出する技術が注目されている.原理的に肌の露出した箇所であれば,映像脈波が得られる可能性があるため,映像脈波が接触式センサから得られる容積脈波と同様の情報を含んでいるのであれば,多くの血行動態指標が様々な部位において容易に計測できる可能性がある.また,映像脈波は多点同時計測が可能であるため,脈波の伝播速度や,到達時間の差などを利用した解析も期待できる.しかし,特に顔以外の部位で外乱が大きく,ノイズフィルタによって多くの有用な情報が失われてしまうことが懸念される.そこで,本研究では,手掌部を対象として,映像脈波に対して,脈波伝播速度や加速度脈波解析などの容積脈波から得られる様々な血行動態指標が映像脈波からも得られるかを調査した.手の昇降によって血行動態を変化させた際の,指尖脈波と掌の映像脈波を計測し,それぞれから算出した様々な指標を比較した結果,加速度脈波の波高比や反射指数などのいくつかの指標においてPPGと映像脈波の間に正の相関が見られた.心電図のR波からの伝播時間についても,両者の間に強い相関が得られた.しかし,映像脈波から算出した瞬時心拍数はPPGのそれに比べ誤差が大きく,安定して瞬時心拍数を得るためにはさらなる改善が必要なことも明らかとなった.

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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