生体医工学
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蛍光・生物発光イメージングの最前線
永井 健治
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 123

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抄録

蛍光タンパク質を利用した蛍光イメージング技術の発展により、生理機能を生きたまま可視化できるようになった。また、超解像顕微鏡技術などの顕微鏡技術の発展も近年著しい。しかしながら、蛍光観察は励起光照射が不可避である以上、光毒性や自家蛍光といった問題が原理的に解決することはできない。一方、ホタルに代表されるルシフェラーゼを利用した生物発光イメージングが注目されつつある。生物発光は蛍光と違い、外部からの励起光を必要としないため自家蛍光や光毒性を回避する事ができるからである。生物発光の蛍光に対するこのような優位性は以前から認識されていたが、発光シグナルが微弱であるため数十分もの長時間露光を要し、これまでライブイメージングには使用されてこなかった。しかしながら近年、NanoLucやNano-lantern、Akalucなどの高光強度生物発光タンパク質が開発され、生物発光によるライブイメージングが実現し始めた。さらに一部の生物発光システムでは、発光基質を生合成することも可能になり、完全自発光動植物が作出されている。本講演では、蛍光や生物発光イメージングに関する技術開発について最近の知見を紹介し、合わせて将来展望について議論する。

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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