2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 142
「眼からウロコ」とは、本質を突き、ユニークな発想で問題解決することを意味する。「一休さんのとんち問答」の上を行く発想をイメージして欲しい。昨今、ロボティスクやマイクロマシンも内外の学会が創立30周年を超えた。所属研究者、学会会員の平均年齢は30代前半と、生体医工学会の平均年齢より10歳は若い。しかし研究テーマと解決策は決して若くない。流行に流され眼からウロコと言える研究成果は多くない。 どんな分野も20年を超えると新規性が無くなると言われているが、その沼で、ユニークな解決策を産み出せれば目立つだけでなく、評価も高くなること。 医用ロボティクスも、研究者が増えたが、飛びぬけた発想は多くはない。解決のヒントは新原理、新概念にこだわることであり、具体的には新素材、新機構と新しいスタンダートを考案することである。今風に言えば「シン・メカトロニクス」から攻めることである。さらにかつて捨てられたアイデア、技術にも境界条件が異なる医用介護分野で生きるものもある。 生田らは形状記憶合金から生分解性ポリマーまで、マクロスケールからナノスケールまでを研究医対象としてきた。その研究過程で得られた眼からウロコテクノロジーを紹介する。医療福祉分野では、シンプルだが秀でた技術を意味する「簡秀技術」が複雑なハイテクを用いるより効果的である場合も多い。特に実用化の際、許認可過程で再認識すべき重要な視点となる。