2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 190
本発表ではDialog Actの遷移を用いた議論のプロセスを分析し、議論の改善点を発見するための手法を報告する。情報科学において議論を分析する手法の多くは、議論を要約するあるいは議論のトピックを抽出するなどして、議論の外観を示すものが多く、実際の議論がどのように進んだかのプロセスを抽出する、可視化するもの少ない。このために議論のプロセスの面から改善点を発見することは難しくなっている。Dialog Actは会話の中の発言に対し付与されるもので、会話における機能を表すものである。議論で得られた発言に対して、Dialog Actを付与し、遷移することが多いDialog Actのペアを抽出し、同じDialog Actを接続することにより有向グラフを作成する。この有向グラフは議論プロセスを表すものと仮定する。有向グラフを良い議論と悪い議論のそれぞれに対し作成し、比較を行うことにより悪い議論を良い議論へと改善するポイントを発見する。著者の所属する研究室の教員と学生による1対1の研究議論のデータに対し提案手法を適用したところ、悪い議論を良い議論へと改善するポイントを発見することができた。