2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 218
医療用トランスデューサは心電図電極などのようにPassiveなものから、超音波診断装置のように電力を使ってActiveなものがある。医療用には生体外で使用するもの、生体内で使用するものがあり、特に前者は様々な条件が追加され、さらに血管の中に入れるものには、血栓や免疫の影響を強く受けるので、その対策も必要である。さらに生体に装着や挿入するためにはサイズも大きな重要因子である。これまでに我々はこのような条件を解決しながら、生体内で使用する化学トランスデューサ開発を行ってきている。さらにトランスデューサ開発の中でも化学量を使ったものは物理量を使ったものに比べると既存のものが少ない。さらに生体中では電気を使うことにミクロショックなどの制限もかかるので、化学情報を電気を介さず直接機械的移動量と機械的仕事に変換するトランスデューサを開発し糖尿病へ応用した。我々は血糖値の上昇で血糖値を下げるインスリンを注入する仕組みを、血糖値上昇が浸透圧上昇を起こす原理を利用し、浸透圧の力でインスリンの注入の微小デバイスを提案した。このデバイスは血糖値低下でインスリンの注入は自動的に停止するので、制御系も付け足す必要はない。さらにこのデバイスは微小化するほど効率が良くなる特徴を持っているので、生体内で使用するための低侵襲化にもマッチしている。現在動物実験でも動作確認はできているので実用化に向けて研究を行っている。