生体医工学
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光干渉断層像を用いた皮膚組織レオロジー特性のマイクロ断層可視化法の基礎検討
古川 大介佐伯 壮一近藤 宏樹
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 270

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抄録

皮膚組織は,主に表皮,真皮,皮下組織から構成されている.肌のシワやタルミは,真皮のコラーゲン繊維の変性が原因となり,皮膚組織のレオロジー特性を変化させると考えられている.このため,皮膚組織のレオロジー特性をマイクロ領域にて断層可視化することでスキンメカニクスの解明が可能と考えられる.本研究では,皮膚組織レオロジー特性をリアルタイムに断層可視化し,スキンメカニクスを評価する手法の確立を目指す.本稿では皮膚組織をマイクロスケールにて断層可視化する光干渉断層法Optical Coherence Tomography(OCT)を用い,陰圧吸引システムから皮膚組織内部のひずみ速度をマクロ断層可視化するOptical Coherence Straingraphy(OCSA)により皮膚組織レオロジー特性をマイクロ断層可視化する.本手法の妥当性について検討するため,前腕屈側部にて陰圧吸引試験を実施した.吸引から解放後のクリープ回復時に対してOCSA法を適用した結果,ひずみ速度の時系列変化から表皮は真皮層に対して,クリープ回復時間が短く弾性的であった.これより,皮膚内部のレオロジー(力学)特性をマイクロスケールにて断層可視化が可能であり,スキンメカニクスの評価可能であることを示した.

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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